伴侶を亡くし、残された立場になってからの平均寿命は、男性5年、女性20年というのだから驚きである。
ご主人に先立たれた奥さんに、一年ほどすると若返ったとか輝き始めたという声もあるが、
一方の男の方は全く反対のケースが多いようで、そんな体験を目の当たりにした出来事があったので紹介を。
奥さんを亡くされたご主人に久し振りに会った。お葬式を終え、初七日を過ぎた頃から毎朝近くの喫茶店で顔を会わすようになっていたが、それは、どうやら朝食をモーニング・サービスで済ませることになられたようで、朝食と作ってくれていた伴侶のいなくなった生活変化のひとつの表れだった。
いつも無言で新聞を読んでおられたご主人だが、その日、店内が込んでいたこともあって「同席、いいですか?」と前に座られた。
「男という者は、本当に弱いものですなあ!」
それが開口一番のお言葉。続いてため息の後の寂しい言葉。それには、ただ頷くことしか出来なかった。
「お寺さんが仰ったのですが、『夫』という字は『二人』と書くんですね。一人になったら夫じゃないんですよ」と言われて沈黙の時間が流れた。
こんな場合、励ますことはよいことではないと言われている。それらは「うつ病」の患者さんへの対応と似ているとも教えられたことがあるが、多くの「決まり事」を責務として日常生活のようにして過ごされることが大切との体験から、「満中陰までの各七日のご法要をしっかりと」と申し上げると「そうですね!」と返された。
上記の「夫」の物語は、お通夜に参列された方々への住職の説教としては悪くないだろうが、当事者には強烈過ぎるとも言える。何気ない言葉が元気を与えたり谷底へ突き落としたりする現実。世の中は「言う側」と「言われる側」とでは180度の異なりがあることも知りたいものである。「幸せ」と「不幸」は、ある意味「諸刃の剣」かもしれませんね。
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