大阪に桜の名所として知られる大川沿いというところがある。JR大阪環状線「桜ノ宮駅」が最寄となるが、あの造幣局の通り抜けでも有名である。
ある時、近くに所用があった帰路、ちょっと散歩をと立ち寄り、何回か入ったことのある蕎麦屋さんへ入ろうとした時、悪いものを見てしまったという嫌な体験に出遭ってしまった。
帝国ホテルと隣接するビルの1階を歩いていると、前方から歩いて来るペアが異様な感じ。男性はスキンヘッドでタキシード姿。横に並ぶ背の高い女性は和服姿だったが、すれ違いの際に目に留まったのは、彼女の襟の部分に見えた黒い図柄のタトウで、一瞬に背筋がゾッとするようなイメージを抱いた。
恐らくホテルで行われる結婚披露宴に出席する出で立ちなのだろうが、若い女性の首筋に見えるタトウを目にしたのは初めてのこと。電車の中で前に立った若い女性の手の甲に花のタトウがあるのを見たことがあるが、それは色もあってアクセサリー的な感じもあったが、首の黒とは衝撃の世界で、それから食した蕎麦の味がいつもと随分と違っていたようにも感じられた。
銭湯で芸術的な刺青を背負う人達に会うこともあるが、昔から「我慢」と別名があったことから掘り込む際にはかなりの痛みがあると想像しながら、作者である「彫師」の芸術性に驚く光景でもある。
昔、近所の高齢者が「女次郎長」と呼ばれて有名だった。不思議と小学生から中学生時代の筆者を可愛がってくれ、出会う度に小遣いを貰ったので印象に残っている。
その女性が亡くなられたのは、筆者が30歳を迎える前のことだったが、送り手の少ない寂しい葬儀であった。
我が大阪市の橋下市長が職員の刺青問題で喧しい話題を提供してくれたが、古く遡ると、禁止されていなかった職業があったことを本で知ったことがあった。それは、江戸時代の火事場で纏を振るので知られる「火消し」で、巻き込まれてしまった際、血液型やDNAもない時代なので、被害者の判別に役立ったからだそうだった。
知人の中に趣味で刺青を背負っている人物もいるが、温泉地やゴルフ場の大浴場に入れないので「若気の至り」と昔から後悔している事実もある。
人は齢を重ねるもの。「健さん」や「富司純子」さんの現役時代の映画は格好いいが、90歳以上の年齢になればどうなるのだろうかと心配する。人生には輝かしくスポットライトが当たる時代や花が咲く時代もあるが、晩節には何かに気付くことになる。そんな時の悟りを謳った格言的言葉として伝わるのが、「小の月」「大の月」を語呂合わせにした「西向く士 精尽きて いざ五七夜の十王経」である。
「2・4・6・9・11」「1・3・5・7・8・10・12」でお分かりになりますでしょうか?
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