喫茶店で会った馴染みの人物が「しんどうの葬式に行って来た」というので、ひょっとして「しんとうでは?」と聞き返すと怪訝な顔をされたが、確認してみるとやはり「神道(しんとう)」のことであった。
辞書を知らべても「しんどう」では出ていない。文字から多くの人が「しんどう」と以外に誤解されているが「しんとう」であることを知っておきたいものである。
ある老舗の店で買い物をしたら、天井の片隅に祀られた神棚が目に留まったが、「剣」と「鏡」が左右逆に置かれているので柔らかく指摘したら、「右剣左鏡なのだからこれでいいのでは?」と反論された。
お祀りされている側から「右剣左鏡ですよ」と返したら、「嘘!向かってじゃないの!」と驚かれた。
これでは説得力に欠け、納得には至らないだろうと考え、やがて例を挙げて説明する運びとなった。
「京都御所の紫宸殿に有名な『右近の橘』『左近の桜』の存在がありますが、それらも向かってではなく中の方からご覧になられてということになっているのです」
「また、平安神宮にも大権殿に模して建立された外拝殿にそれらがあり、全く同じになっていますし、分かり易いところでは『お雛様』を飾る際にも同じ問題が出て来ます」
ここまで言うと、「えらく詳しいですな」と何者?みたいな疑問を抱かれたようなので、とどめ?となる比喩を持ち出して結んでおいた。
平安京、平城京には朱雀大路と呼ばれる道が南北に抜けており、平安京の方では現在の千本通りがそれにあたります。大路の東側を左京と呼び、西側を右京と読んだことからもご理解されるでしょうが、全ては対象物側から見られた立地でそうなっているのです」
お店のご夫婦が感心しながら耳を傾けてくださったが、お礼だと言って、お店で販売されている高級な果物をいただいたので恐縮したが、その後のご夫婦の会話が面白かった。
「何か変だったのよ。最近、お客さん少ないでしょう?神さんの祀り方を間違っていたら繁盛することなんてないわよ。この人のお陰で正しくなったから、きっと忙しくなると期待しようよ」
そんなやりとりを聞き、繁盛しますようにと笑いながら頭を下げ、予期もしなかったお土産を手に店舗を離れた筆者だった。
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