音響と照明のプロがいる。彼が体験した「幸せ」になるような体験話を紹介しよう。
団塊世代の誰もが知る「ベンチャーズ」だが、ある日本公演が行われている際に彼が担当していた音響で問題が発生した。もう3曲ぐらいで終わりという頃、演奏しているメンバーの表情に「?」を感じるような雰囲気があった。
<音響に不具合が!>と思った彼、プロらしくそれがモニタースピーカーの故障だとすぐ分かったそうである。
モニターとは奏者達には欠かせないもの。自分達が演奏する楽器の音が聞こえて来るからで、それが故障したら客席向けのスピーカーの音だけが頼りとなり、普通の奏者なら演奏を止めてしまうこともあるぐらいの問題である。
そんなハプニングの発生で<とんでもないことが!>と頭の中が真っ白になった彼だが、演奏者達は何もなかったように演奏を続けている。やがてプログラムにあった3曲の演奏が終わり、司会者によるフォローでアンコール曲に入り、公演のエピローグを迎えた。
すぐに謝罪をしなければと行動を始めた彼。訪れたのは奏者達の控え室。英語の喋られる人物に頼んで控え室の中に入り、日本語で謝罪の言葉を述べながら平身低頭すると、それが英語に通訳されて伝えられた瞬間、ベンチャーズのリーダーは次のように言ったそうだ。
「あなたは謝る必要はない。あれは機材の故障だろう。機材が誤ればいいことだ」
筆者はベンチャーズのファンの一人だったが、この話を聞いてますますファンのパワーを倍加することになったし、彼もアメリカ人らしい対応に感動して一気にファンとなったそうである。これが日本のミュージシャンだったらどうなっていただろう? 怒り狂って「責任者を呼べ!」なんて言葉で事件になっていたと想像する。
プロとは、ハプニングをハプニングでないように対応するという考え方があるが、この出来事は、まさにそれを顕著に物語る事件だったように思っている。
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