「大正海老」「芝海老」などと銘打って、実は値段の安い「バナメイエビ」を使っていたという事件がホテル、飲食業界で続発している。
発端は阪急阪神ホールディングスの偽装事件発覚から始まった。
同社のHPにはこうある。
株式会社阪急阪神ホテルズがメニュー表示と異なった食材を使用していたことに関するお詫びこれを読んで「まだわかっていないな」と思った。お客様目線の問題ではない。サービス業がお客様目線であるのは当たり前、常識、ごく普通のレベルである。
(前略)様々なご叱責、厳しいご意見を頂戴しております。その多くは、同社の説明が社内の事情に終始し『お客様目線』に欠けているというものでした。(後略)
問題はそれ以前。人の道を外れた恥ずかしい行いに対してみんな怒っているということに気づいておられないようだ。そんなレベルでは万事休すである。
事件は「リッツカールトンよお前もか」となり、その後も続々と芋吊(いもづる)のように発覚している。次は自分の番かと内心おびえている企業がどこかにいるはずだ。業界の中で偽装が常態化していることが悲しくも判明した。
ビジネスのために形振り(なりふり)構わぬ哀れなる経営者やリーダーが急増し、正直とか真面目とか真摯とか...本来の良き特性が日本人からなくなってきている。
自業自得。道を外れた者はその報いを受ければいい。だがここに迷惑を被った罪なきものがいる。バナメイエビである。
身勝手な人間のために「偽物」という不名誉な称号をいただくことになった。でも、このエビは本物と区別がつかないから使用されたものだ。つまり、バナメイエビは旨いのである。
芝海老とバナメイエビの違い
芝海老:クルマエビ科に分類されるエビの一種。体長約10cm程度の小柄なエビ。昔、東京湾の芝浦周辺でたくさん獲れていたのでこの名がついたとされる。
バナメイエビ:日本では2000年代後半から「むきえび」や「冷凍えび」として流通している。主な生産国はタイ、インドネシア、中国。安価が特徴。
見た目は良く似ているが、良く見ると身体の模様や色が違う。素人でもわかるものをプロの人がわからないはずがない。現場でも見て見ぬふりをしていたのか、それとも気に留めなかったのか。
「食い物の恨みはこわい」と昔から言われる。道を外した者には大きな代償が待っているだろう。
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