数号前に「伊勢」のことに触れたが、伊勢神宮の「正式名称」は「神宮」で、全国に在する神宮の源のような存在である。
今、20年毎に行われる「式年遷宮」のための大工事があちこちで行われ、来年の大イベントの準備が進められているが、「遷」という字は「遷都」などのように「移す」意味に用いられているようだ。
「遷延(せんえん)という言葉は例外みたいで、「のびのびになること」と解釈されているが、仏教の世界でも高僧がご逝去されると「遷化」されたというように用いられるし、お仏壇を「洗い」に出すために「魂抜き」を行ったらり、置く場所を変更するために行われるのが「遷座」という言葉が使われている。
秋の旅行のパンフレットを見ていたら「神在祭」という文字が目に留まり、細かい文字まで読み込むことになったが、それは山陰に在する「縁結び」で知られる「出雲大社」の大祭で、次のように書かれてあった。
『1年に一週間だけ 神無月と呼ばれる旧暦の10月ですが、神様が参集される出雲では「神在月」と呼ばれています。その中でも「神在祭」の一週間は、全国の神々が参拝者の願いを審議してくださいます』
『平成の大遷宮により、130年ぶりに蘇った「新御本殿」がお目見え! 御修造を終えた御本殿の大屋根を境内よりご覧いただけるようになるもので、お入りいただくことはできません。また、御本殿を囲む八足御門、楼門、回廊の瑞垣は改修工事が行われています。
本殿遷座祭は平成25年5月に行われます』
こうなると、来年は伊勢や出雲にと予定を組まなくてはと思う人もおられるだろうが、この出雲大社を結ぶ「一畑電鉄」には有料だがユニークな企画が存在し、鉄道ファンの羨望の体感場所として有名なのである。
本線と並行する一部を限定路線とし、そこで本物の電車の運転体験が出来るとういうものだが、片道約150メートルを実際に運転可能というのだから全国から多くのファンが集っているそうである。
講習と運転体験を含めた旅行企画も組まれ、多い人では10回以上も運転をしたという猛者もおられたそうだが、子供を伴われたお父さんだけではなく、女性の参加者が意外と多いのも話題となっている。
日本人的文化の中でスピーチというものは独特な世界があると言われている。欧米諸国ではスピーチの冒頭は人を引き付ける必要性から「ユーモア」や「ジョーク」から始めるとされるが、我が国内での会合で耳にする「挨拶」には通り一遍等の世界があり、「僭越」「浅学非才」なんて言葉を聞くと「うんざり」するものである。
挨拶の終わりの前に、「終わりになりますが」とか「最後になりますが」なんてことも飛び出すが、これらは「結びになりますが」に変更された方がよいと書いておこう。
また、「甚だ簡単『粗辞』ですが」と思っている方があろうが、「粗辞」なんて言葉はいつの間にか誰かが用いて勘違いされて現在に至っているもの。同じ「読み」の「措辞」という言葉の意味が「詩歌や文章で言葉の使い方」であり、「措辞の優れた作品」などと用いられるところからも、なにやら不思議な言葉になるとも言えるだろう。
先月末、来月に息子が結婚するという友人から頼まれたのが「新郎」の父の謝辞の問題だったが、どうしようと「心労」や「辛労」する彼の姿を見かね、アドバイスしたのが「堂々と読め」というもの。この「幸せ列車」の世界には「結婚」のページもあり、何かの参考になればと謝辞の一例を紹介しよう。
謝辞のポイントになるのが幾つかあるが、「出席者に対する謝意」「媒酌人への謝意」「祝辞やスピーチ、歌などへの謝意」「今後のお願い」「出席者に対する祈念」などが基本になり、日本人特有の「粗酒粗宴」など「謙り(へりくだり)」を加えるのも重視されているようだ。
『ご紹介をいただきました新郎の父「****」でございます。両家を代表いたしまして皆様に一言謝辞を申し上げますが、思うところをしたためて参りましたので失礼ながら読ませていただきます。
本日は、何かとご多用の中、二人の結婚披露宴にご出席を賜りまして誠に有り難うございました。
遠い昔の慣習からいたしますと、媒酌人の存在が不可欠でしたが、これも現代社会の潮流(ちょうりゅう)からでしょうか、ご承知のように本宴に媒酌人の存在はございません。これは、ここにご出席いただいた全ての方が二人の結婚を見届けてくださった「証人」というご存在であり、ある意味「媒酌人」であられると言えるのではないでしょうか。
東北のある地方では媒酌人のことを「神様」と称し、それが「縁結び」につながるからだと聞いたことがございますが、結婚とは、まさに「えにし」と言うことに間違いはなく、それだけに二人にはやがて生まれて来るであろう子供達を含めて、幸せな家庭を築かなければならない責務があると考えております。
ある方から結婚は「華燭の典」で、華は「花」で女性を表し、燭は「蝋燭」で男性を表し、どちらも周囲を明るくするものだと教えられましたが、是非、そんな明るい家庭を築く夫婦として歩んで欲しいと願うのが我々4名の親の思いでもあります。
皆様から寿(ことほ)ぎのご祝辞を頂戴した中の教訓や励ましのお言葉を拝聴しながら、二人が何と幸せ者だろうかと感涙しながら、両家親族一同感謝の思い一入(ひとしお)でございますが、そんな中、全くアルコール類を飲まない私も、今日はその喜びに、ほんの少しだけ口にすることになり、身も心も舞い上がっているような気分でもあります。
なにとぞ、今後も二人をお見守りくださり、ご指導とご鞭撻を願う次第でございます。
粗酒粗宴で長時間に亘(わた)ってのご臨席、恐縮の極みに耐えないところでございますが、皆様のご健勝とご多幸を心から祈念申し上げ、甚だ粗雑ではございますが、両家を代表したしまして私の謝辞とさせていただきます。本日は、誠に有り難うございました』
上記は最近に多い媒酌人のないケースで書いたが、書いたものを堂々と読むことは決して恥ずかしいことではなく、原稿もなく詰まったりすると聞く側の人達が異常な疲れを生じる事実も理解しておきたいものである。
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過日に「かめかむか」さんが来年から導入される近鉄特急「しまかぜ」について触れられていたが、伊勢方面に行かれる方のためにちょっと書いておこう。
何度か触れた近鉄グループの旅行会社「クラブ・ツーリズム」だが、その専用車両である「かぎろひ」が走り始めてから12月で丸1年を迎える。そんな「かぎろひ」に乗車したまま洗車が体験出来るという珍しい企画があるそうだが、先週に開催された「きんてつ祭り」で、冒頭の「しまかぜ」が一般公開されたというニュースもあった。
伊勢方面に向かう特急には「一般的な特急」、2階の車両を連結した「ビスタカー」そして「伊勢志摩ライナー」の3種類が走っているが、ビスタカーの2階の下には5人掛けぐらいの広さのグループ用の個室があり、3人で貸し切ることが可能で、3人分の特急料金で利用出来るが、ヨットのキャビンみたいにリニューアルされつつある室内は、線路に近いために騒音が大きいのと、視線がホームより低くなる状態なので外の景色が見え難い問題が秘められている。
「伊勢志摩ライナー」にはデラックス車両が存在し、180キロ以内なら400円追加で乗車出来るし、一人席と二人席の三人掛けなのでゆったりとしたスペースがある。
また、サロンカーが連結されており、2人か4人なら追加料金なしで利用出来るし、向かい同士でテーブルを挟むボックスシートなのでお勧めであるが、3人の場合には4人分の特急料金が必要となるので気をつけたい。
伊勢神宮に参拝するなら、まずは宇治山田駅の一つ手前の「伊勢市」駅で下車し、外宮さんから参拝するのが正式な順序。五穀豊穣や衣食住を守護する「豊受大御神」が祀られている。
外宮さんに参拝されたら駐車場前にある鰻料理の「喜多や」さんがお勧め。ここは、戦死された巨人の沢村投手と投げ合った阪神の西村投手のご実家であり、野球殿堂入りをされていることも知っておきたい。
内宮さんの最寄り駅である宇治山田駅の建物は文化遺産として登録されており、皇室やVIPの参拝があることを想定され、貴賓室が存在していることも有名である。
「天照大御神」が祀られている内宮さんを参拝したら、お払い通りから「おかげ横丁」へ立ち寄るのも人気のコース。入り口には「赤福」の店があり、ここでは毎月一日に様々な和菓子を売り出すので未明から行列が出来るので知られているが、「赤福」か「お汁粉」を食するのもお伊勢参りの風物詩みたいになっている。
おはらい通りには様々な店が軒を連ねている。名物の「てこね寿司」や「伊勢うどん」の店もあるが、囲碁のクラブが存在しているのが面白い。
私が土産を買うために立ち寄るのは、一夜干しなどを販売している店で、入り口で焼きながら香りで客を立ち止まらせ「如何ですか?」と試食させてくれるので冷やかすのもよいだろう。
そうそう、近鉄には昔からユニークな電車が存在している。遠い昔は急行の運転席のすぐ後方に専用室が設けられていたが、今では普通の電車を専用列車として走らせ、ヘッドマークは「鮮魚」とあるので「さかな君」ではないが「ギョッ」とする。伊勢の海で獲れた魚介類を鶴橋の市場に運ぶためのものだが、全国でも珍しい存在である。
来年は20年に一度の「式年遷宮」の年、今、着々と工事が行われているが、ひょんなことから警備のトップが筆者の幼馴染であることを知ったので再会したいと考えている。
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