数ヶ月前のことになる。
何かと仕事でお世話になっている知人が、私が住むパラッツオ(建物)の横道で、男の二人組みに背後から襲われるという強盗事件に遭った。
怪我は無く幸いであったが、腕に付けていた最高級ブランドの時計を奪われた。
彼は 被害届けを出すべくパトカーに便乗した。
しかし、彼は被害届けを取り下げて帰って来たと言う・・・・・
話を聞いてみると、この社の時計は 中古市場でも高値で売れるため、
泥棒たちのターゲットにされているということ。
泥棒たちは 日頃から、この種の時計の持ち主たちをチェックしているらしい。
警察側でも、ほぼ犯人たちを確定してる。
しかし、被害を受けた側が「彼らに間違いありません。」と証言をしてくれないことには 逮捕ができないという。
この知人は 警察で、諸に写真を見せられ、
「この男たちだったんじゃないですか?」と訊ねられたそう。
正に、二人のうちの一人は そうだったという。
更に驚いたことには 記憶が鮮明によみがえり、以前出会ったことのあるナポリの知人だったということ。
泥棒は この知人の素性を良く知っている。
自分が届けを出せば、二人組みは 直に逮捕されるが、
自分への「脅し」が始まる。
「脅し」・・・それは 大切な一人娘に向けられるかもしれないし、
仕事を奪われるかもしれない・・・
「脅し」は 私などが想像もつかないものらしい。
結局、考え抜いた知人は、被害届けを取り下げて、
何事も無かったように事を治めたと言う。
彼が最高級品ブランドを身に付けていたという落ち度は 言うまでもないこの国の常識。奪われては困る物は簡単に身に付けるべきではないのです。
そして、「生き延びるための悪との共存」とは こういう事と言えるでしょう。
「太陽の国、イタリア」・・・
しかし、その裏には 日陰の下を歩かなければならないような現実も多々あるのです。
今や 欧米諸国では 高級ブランドや流行にあおられる消費が減速しています。(中国などの新興大国を除いて)
高級ブランド品に憧れを抱く時代は 既に終わったのではないでしょうか。
新しい物を次から次へと購入するといった消費の形態も変わりつつあるでしょう。
これからは 我々人間の関心が、物やお金ではなく、
「精神へ。文化へと。」方向転換していかなければならない時代に来ていると
思えてなりません。
どんなに物質的に豊かでも、精神の豊かさとは全く別のことですよね。
先日、新法王さまが「バチカンは 日陰の下を歩くようなことをしてはいけない。お日様の下を堂々と歩かなくてはいけない。」と、ご自分の置かれた立場を通して仰られたお言葉ですが、これは 我々一般人にも同じ事が言えるでしょう。
今は 世界中の人々のモラルが低下しています。
人々は 正しいことも、正しくないことも、見分けがつかなくなっている傾向にあるのではないでしょうか。
そんな中、正しいことは正しい。正しくないことは正しくないと明確にお言葉にされる新法王さまは 素晴らしいですね。
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乗客のコメント
貧富やいろんな格差が基になって、“良識”、“正義”などの、人としての心の持ち方において、それを維持できる人・できない人の格差が広がっているように思います。
悲しいがイタリアも日本も変わりませんね。
悲しいがイタリアも日本も変わりませんね。
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