現在のイタリア経済危機状態の中においても、お国柄、バカンスは まだ存在する。確かにバカンスどころではない国民層が厚くなったことは言うまでもないのが現状ではあるが。
夏休暇を利用して、田舎や海の親類を訪ねたり、他の街の友人宅を訪ねたり、子供たちだけをバカンス村へ送ったりと・・・それぞれの経済状況のなかで、それぞれにバカンスのために工夫を凝らす。
近年は 若い層も、平均をすると3~4日のバカンスという短さになって来ているようだ。何とも致し方のないことである。
さて、私事となると・・・
やはり、ここ数年は バカンスに投資をすることに対して、疑問を持ち始めた。気がつけば、「バカンスのご予定がないのなら、家の海の別荘へ是非いらして下さい。」という、何とも幸運な・何ともありがたいお招きを毎年のように受け続けている。充分に恐縮をしながらも、NO.とはお断りできずに、お言葉に甘んじているという幸せ。
恵まれた友人によっては 海岸の絶壁上に、先代からの別荘が建ち、深さ4Mの海水プールまで備えている。その上、海面へも直接入れるようにと、別荘から、トロッコで海面まで降りることもできる。すべてが、プライベートである。おまけにコックまで、ローマから連れてきているという・・・・
率直に、バカンスを共有するということは どういうことか?というと。
それは 人間の生活には欠かすことのできない「食生活」を共にするということが中心になる。
得意料理を披露し合ったり、港まで買い出しに出たり、それぞれの食習慣がバラエティーに飛び交う。我われのように五十代・六十代になると、身体にケアが必要となる年代に入って来たため、ダイエット中という場合も多々・・・
今夏の海の別荘でのヒット料理は 別荘内の菜園で採れるトマト料理だった。トマトをベースにした、ありとあらゆるサラダ、オーブン焼き、パスタ、スープは冷たく冷やしても・温めても美味だった・・・
最究極を求めた後はシンプルにたどり着くと言う様に、食も年齢と共に、シンプルを好むようになることを隠せない。
気がつけば、バカンスを共有できる友人たちも、実に、シンプルと言える。
時として、会話がない瞬時でも、お互いに目と目が合えば、ニッコリと微笑み合える。そういう仲である。二週間もの間、一日中一緒にいれるということは、そういうことになる。
肌が数秒間の間に焼きつく太陽の光りの下では、その人の持つ真の姿が浮き彫りになる。どんなに巧みな言葉で語り尽くそうが、どんなに外見を飾ろうが、すべては無駄他だということに気づかされる。
その無駄をを捨てきれた時に、人は悟りを啓けたといえるのではないだろうか。
水平線を見渡せるテラスで、友人夫妻と我われ夫婦で、何も言わずに肩を組合って、見続けた終日の夕日は忘れる事ができない。
我われは現状を前進させるための英気を与えられて、バカンスから戻って来た。
今日も、オレンジ色の夕日が鮮明に脳裏に蘇る。
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