1月17日、奇しくも阪神大震災のメモリアルの日。
北海道新聞朝刊の一面から「積雪194センチ岩見沢限界」の大見出しが目に飛び込んできた。「高齢者らの生活寸断」の文字もあった。
我々北国の人間には「限界」の二文字だけで、窮状が容易に想像できる。
「雪に殺される」と訴える住民の姿もテレビで伝えられ、自衛隊も除雪や救助に出動した。しかし残念ながらすでに雪の事故で死傷者も出ている。
本当に雪に殺されてしまったのだ。
自然は実に厳しい。
私の住む道南も今年は雪が多い。
この時節、巷では除雪をめぐるご近所トラブルも少なくないのだ。
お隣とお向かいに新しい家が3軒建って、初めての冬である。
近隣はもともと大きな家が多い上、高齢化が進み、用事があれば家の前から車でお出掛け。
お付き合いといえば挨拶程度で、ゴミ出し以外にお会いする機会はめったになかったが、毎日雪が積もるようになって事情が変わった。
新しいご近所さんとは朝の雪掻きで顔をあわせることが多くなった。
家の前には公道まで巾5m長さ20mの道路があり、現在は我が家と他2軒で共有している。
つまり除雪車が入らない道路だ。積雪が多いときは結構な重労働である。
雪掻きは共同作業となり、連日ともなると不思議な連帯感も生まれてくる。
ある朝、覚悟してドアを開けるとすでに玄関の前まできれいに除雪が施されていた。
お向かいのご主人によると、その道路を使用していないお隣のご主人が掻いてくださったのだという。
有難いやら申し訳ないやらである。
そう言えば2~3日前の雪の日も日中雪掻きされている姿を発見。
恐縮して声をかけると、仕事がお休みらしく「暇ですから」とにっこりされていた。 我が家は高齢者のいる女所帯で、お向かいは私の親世代のご夫婦。
まだ現役世代のその家のご主人は案じて下さったのだ。
善意のタイガーマスク運動が話題になった昨年のこと。身近に「我が家にもタイガーマスクが来たの。」と喜んでいる独居の女性がいた。
その善意はやはり黙って雪掻きをしていった人のことだった。
雪の上に残ったママダンプ(大きな雪掻き用具)の跡を辿っていくとご近所のお蕎麦屋さんだったという。
雪は人間に大きな試練を与えるが、一方で他者を思いやる優しい気持を喚起してくれるようだ。
人と人との関係が疎遠になりがちな現代に「仲良くしなさいよ」という天からのメッセージなのかもしれない。
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乗客のコメント
北海道の雪原、大地が手に取るような素敵な表現で感心しました。
大阪ナイツ 大阪府(47)男性 2012/01/22
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