JRの車掌という立場の人物が、駅に設置されている端末機を使って人気寝台列車の切符を発券し、それをネットオークションで販売して利益を得ていたことが発覚して解雇されたニュースがあった。
売れ残った切符は端末機で戻す作業をしていたようだが、本来必要とされる手数料を付加しておらず、この分でも約13万円の損害を与えていたという悪質な手口だったので、見て見ぬ振りをしていた数名の社員も処分を受けていた。
大阪と札幌を結ぶ「トワイライト・エクスプレス」や上野と札幌を結ぶ「北斗星」や「カシオペア」の人気は高く、一ヶ月前の発売と同時に瞬時に売り切れとなるところからプラチナチケットとも呼ばれているが、そんな事実を利用して利益を得ようとした行為は情けないレベルである。
どんな世界でも、おかしなことに「おかしい」と指摘出来る環境が重要。大変なことになってから後悔しても始まらないのである。
喫茶店に入っていたら、後ろの3人組の会話が自然に聞こえて来る。それぞれがネクタイを身に着けたスーツ姿で、一見ビジネスマン風だが、彼らの話を耳にして恐ろしくなった。
どうやらベンチャービジネスを立ち上げるらしいが、「そうだな」と同調の言葉の前に言った内容が衝撃だった。「失敗すれば自己破産すればよい」とはっきりと聞こえたからで、それによって迷惑を掛けて被害者になる人達のことは毛頭考えていない連中だった。
何時頃からこんな横着な発想をする若者達が登場したのだろうか。それらは「オレオレ詐欺」の犯罪と同レベルの考え方で、他人に迷惑を掛けないという先人の教えが消えてしまった最近の現実に寂しい思いを抱いている。
自己破産とは恥ずかしいことである。それを前提にして企画するだけでも失敗は確実だとアドバイスしたかったが、愚かな連中は聞く耳を持たないのも常識で、心の中で哀れみを感じていた。
最近のテレビや車内広告に目立って多いのが借金の法定以上の利息を取り戻すという法律事務所の存在。弁護士をしている友人に聞いたことがあるが、悪い弁護士の行動に、破産の相談に来た相手に何処かのサラ金で新しく借り入れを勧めることがあるそうで、それを破産手続きの費用とする訳だが、貸した方は災難である。
ゴルフ業界にびっくりニュースがあった。経営状態が悪くなったゴルフ場を次々に入手していた外資系の「アコーディア」が、負債の金利を縮小するために90ヵ所のゴルフ場を転売するというもの。友人や知人がメンバーになっていたゴルフ場がアコーディアに買収され、会員権が紙切れみたいになったと嘆いていた声が多かったが、バブル期では想像も出来なかった現実である。
30年ほど前、一つのゴルフ場の建設には約100億円の費用が掛かると聞いたことがある。用地が30万坪以上必要で、立地の不便な山を購入するのに坪単価が7000円。舗装道路に隣接する山なら坪単価1万円だそうだが、用地買収が終わるとコースの設計に基づき、工事用機械が入れるようにパイロット道路の開発から始めると知った。
そんな大金の準備を預託金という形式により会員権で充当させる訳だが、単純に計算したら100億円なら1000万円のメンバーを1000名募集しなければならない。
バブル時代の新設ゴルフ場の戦略は、「縁故会員」「第一次会員」から「第四次募集」「最終募集」などがあり、完成が近づく程高額になり、中には5000万円というところもあった。
そんな中に問題のあるゴルフ場も少なくなかった。「あそこの会員数は電話帳ぐらい」なんて揶揄されていたが、会員数の少ないところほど会員名簿を発行していた事実がある。
経営破綻を迎えたゴルフ場に多かったのが、完成したゴルフ場を担保にして次のゴルフ場を建設すること。次の機会にゴルフ場に纏わる秘められた問題について触れよう。
コメントはこちらから
あなたの心に浮かんだ「ひと言」が、誰かやあなた自身を幸せに導くことがあります。
このコラム「そんな時代もありました」へのコメントを投稿してください。